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 MAR22-② 人生最悪の日

主治医のナベ先生自ら車椅子を押してくれてカンファレンスルームに行った。


「ええと、検査したばかりだけど急いだ方がいいと思うんでね、お母さんいらっしゃらないけどお話をします。」

「はあ。」



紙に子宮の図を書き始めるセンセ。

「単刀直入に言うとですね、子宮の入り口、子宮頸部というところに腫瘍がありました。来院したときは出血が多くてよく見えなかったのですよ。細胞を取って検査したところ…」



子宮の図に続いて細胞診のクラス分けについて書いている。

「プアさんはですね、ここのカルテにあるようにⅠ~Ⅴの5段階あるうちのの細胞なんですよ。」

「……」(コレハワルイユメ?)

「つまり98%の確率で悪性なんです。ほぼ間違いなくです。」






表情は無くなってしまったけど、まだ冷静に聞いていた。

「プアさんの年齢からいうとココのがんになる人は多いわけじゃない。珍しい方と言っていいです。MRの写真を見てください。ココです、子宮の下、こんなに大きいんです。子宮と同じくらいあります。」

「センセ、ワタシ子供を持たない人生って考えてないんです。」


病気の説明は子宮頸がんのステージ(進行度)に移った。

「Ⅰ~Ⅳ、そしてそれぞれ細かく分かれてます。プアさんはⅠからⅡのⅡ寄りにあたるでしょう。まだ手術で治療できます。5年後存命率は80%以上あります。子宮と卵巣等の子宮の周りの器官、膣の一部を切除します。あなたの場合、出血が酷かったから早い方がいい、に来週の金曜日30日手術室を押さえましたから。次に大出血したらあとがありません。」

「センセ、子宮は絶対取りたくありません。」センセの言葉を遮るように発した。

「がんの治療は大きく3つあります。①手術②放射線③抗癌剤です。日本では現在は手術、外科的治療がメインです。がんは取ってしまう、のが一番のスタンダード治療です。」

「スタンダードってことは標準じゃないこともあるんですよね?だって人はそれぞれ違うでしょ、私にスタンダードが合うなんて分からないじゃないですか。」

「確かに子宮頸部だけを切り取る手術もありますが、プアさんの段階では危険です。東京でも△△大学病院でしかやってないです。そこでも良い結果が出てるとは言えません。」

「じゃあ、放射線か抗癌剤でとりあえず挑戦してみるのはだめですか?完全に良くならなくても子宮が無いと話にならないじゃないですか。再発までに子供を持てるかもしれないし。」

「医学的には勧められません。万が一がんが取りあえず無くなって、その後に妊娠できたとしても妊娠中に再発しないという保障はどこにあります?そうなったらお子さんもあなたも大変なことになる。」

「……まだ諦められません。」大粒の涙が落ちてしまった。

「早く病院に来てくれていれば…」センセのつぶやきが耳に残った。
「とにかく早くご両親に相談して下さい。今電話したほうがいい。」


ボロボロに泣いてしまったワタシを乗せた車椅子をデイルームの携帯OKエリアに押していって、「頑張って。」と肩を叩いてナベ先生は行ってしまった。キツイ事言う医者だな、好きになれないなと思った。



この時は子宮がんの知識が殆ど無かった。感染が原因であるから性病の一種だという、今自分が持たれたら腹が立つ偏見のみあった。早く発見できれば子宮に問題なく治療できることもよく知らなかった。

今思うとこんなアホにセンセもキレずに話してくれたなあ、って感心する。


ひとりぼっちで戦った。
まだ白い顔で頭グチャグチャで猫背で車椅子、おしっこ管も付いている……情けない格好、そして
ワタシはガンなのだ。
でもじつはそんなことより子供が産めなくなるのだ



孫の顔が見たいという父、母になんて言おう??
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16:33 | がん告知~手術前日
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